青木俊介 / Shunsuke Aoki

属性
CTO
国立情報学研究所 青木研究室PI
カーネギーメロン大学 Ph.D.
米・カーネギーメロン大学 計算機工学科で博士号取得。米国では自動運転システムの開発・研究に従事し、サイバー信号機の開発やゼネラルモーターズ社のウルトラクルーズの開発に携わる。2021年より国立情報学研究所 助教として着任し、青木研究室を主宰。名古屋大学 特任助教・JSTさきがけ研究員を兼任。MITテクノロジーレビュージャパンより35歳未満のイノベーターIU35に選出。
 

研究の第一線で見てきた景色

ーー早稲田大学、東京大学、CMU(カーネギーメロン大学)でPh.D取得と素敵な研究者キャリアを歩まれていましたが、海外に飛び出した理由や研究者として意識されていたことはどんなことでしたか?

コンピューター工学の道に進んだ理由

学生当時は、長期休みのほとんどをバックパックやインターンに費やしていました。時にはアフリカやインドを周ったり、2ヶ月間ボルネオ島のジャングルの中にある現地NPOでインターンとして働いてみたりしていたんです。楽しい反面、自分が世界を変えてないと感じる圧倒的な無力感や悔しさに苛まれることも多々ありました。その時に、「世界のインフラをまるごと変える仕事がしたい」と強烈に願ったことを昨日のように覚えています。
そんな思いから、インターネットや携帯電話など世界中のインフラをひっくり返した発明を生み出したコンピュータ工学に自然と惹かれていきました。

Real-world Problemを解く

ーーコンピューター工学の道に進んだ後、社会課題を解決するという意識が強く芽生えたのはどんなキッカケがあったのでしょうか?
元々そういった意識は持っていましたが、それが強くなったのはCMUでの経験が大きいです。「ゴールは論文じゃない!社会のリアルな問題を解決しろ!」という言葉をCMUの指導教官Raj Rajkumar先生からよくいただいていました。
 
正直、最初に聞いた時には少し困惑しました。ですが、私たちPh.D.を目指す人にとって論文を書くことは非常に大切です。また、若手研究者、特にアカデミアを目指す人にとって論文の本数は大事な指標になります。「ある程度の地位を手に入れた、シニア研究者の驕りだろうか」とも思っていました。
しかし考えてみるとそれは当たり前のことで、研究者は多かれ少なかれ社会に役立てるために、研究をしています。それに、コンピュータ工学の研究成果のアウトプットはなにも論文だけに限りません。特許になることもあるし、自らの技術を種に会社を立ち上げることもあります。つくったモノを無料公開し、他の開発者・研究者につかってもらうことも大事な社会への貢献です。(断っておきますが論文の執筆・採択を軽視しているわけではありません。論文は書いて当たり前でしょ、というのが研究グループのスタンスでした。)
研究をしていると目先の指標や目標、例えば賞レースや難しい国際会議論文への採択ばかりが気になり、ついつい「論文のための研究」に流れてしまいます。「論文のための研究」であれば実装や開発は最低限に止めればよいですが、実際に社会に役立つものをカタチにするためには論文以上に細部をつくり込まなければなりません。学生が「論文のための研究」に流れてしまいそうになる時、決まって指導教官は上記の言葉を発して、引き留めてくれていました。当時の経験が今の私のベースとなっています。

自動運転の道に進んだ理由

私が自動運転の研究の道に進んだ理由は大きく二つあります。もともと私は「バラバラなものが単独で動きながら、全体として協調して動く」いわゆる分散協調システムに工学的な興味を抱いており、修士時代はIoT(Internet-of-Things)や分散協調システム・組込システムの研究をしていました。自動運転システムも自動車一台の挙動を考えれば良いわけではなく、複数の自動車の動きを考えなければいけません。分散協調システムとしては非常に複雑ですが、非常にやりがいのある研究対象と感じています。
二点目として、自動運転は「社会を大きく変革する技術」であることです。情報科学という工学と純粋科学を融合させながら、人々が解決を待ち望んでいる時代の要請に直接応えることができる研究であること、20年後の人類の未来に大きく資することができる可能性があることが、大きなやりがいにつながっています。

Turing創業前夜までの出来事

ーー海外でPh.Dを取得し、そのまま研究者へという道があった中で青木さんが、日本で起業するという選択をとった理由はどんなものだったのでしょうか?

日本に戻った理由

20代でCMUでPh.Dを取得し、一定の成果も出すことができました。今後の人生について考えていた中でふと思い出したのがビッグテックでインターンしていた時の風景でした。40代〜50代の方がどうすれば日本の完成車メーカーに勝てるか、よりよいものを生み出せるかという議論をしていたシーンです。自分が彼らと同じ年代になった時に、日本企業に勝つために働く未来よりも、日本社会にとって良い挑戦をし、成果をあげる未来の方がいいと感じたのです。「後世に誇れる仕事をし、人生を終えたい」と思い、そのための選択肢として起業することを考えました。また、自動運転の技術者・研究者としてアメリカである程度の成果を出すことができ、少し自信があったのも事実です。2020年当時の最先端の自動運転技術をもう1段階引き上げることができれば完全自動運転システムの実現まで道筋を立てられると仮説立てていました。

山本一成という人間との出会い

日本に帰国して名古屋大学で教鞭を取る中で、多くの優秀な方にお会いしました。ですが、自分の中で「これだ!」と確信できるアイデアや出会いがありませんでした。そんな中でふと山本一成さんとTwitterを通じてDMのやりとりをし、話す機会がありました。
彼も私と同じく、後世に誇れるような大きな仕事をしたいと考えていました。Ponanzaで機械学習におけるエポックメイキングなシーンを生み出した後に引退し、次の挑戦を模索していたのです。「30代・40代とまだ人生の先が長いのに、今のままでは絶対に終えたくない。最高の挑戦をし、人類の未来のためになる仕事をしたい」と言う彼の思いに共感し、この人と一緒に挑戦したら面白いのではないかと考えました。

クルマを作ろうという一言

山本さんとさまざまな事業アイデアについて話す中で、私の中で漠然と「自動運転システムの開発や要素技術の開発では勝てるのではないか」という思いがありました。自身のバックグラウンドを活かし戦える土壌であり、一定の勝機も見込んでいたのです。
ですが、ある日山本から「青木さん、クルマから丸ごと作らないか?」と言われた時に、一つ上の枠で考えていた彼のスケール感に驚き、起業家としてのある種の嫉妬のような感情を持ちました。それと同時に自身が培ってきた自動運転技術を後世に残るプロダクトへと昇華できると感じてワクワクし、山本一成と手を組むことを決めたのです。会社名を決める前にテスラの年表や動きを書き、自分達のマイストーンもその横に記していました。年表を決め、自分達のストーリーを考えていた時のことを今でも鮮明に覚えています。

Turing創業に誓った2つのこと

ーーそんな背景があってTuringが生まれたのですね。さまざまな環境を見て、いろんな起業家や組織を見た青木さんがTuringという組織づくりでこだわりたいポイントはどんなものでしょうか?

技術者が最高の社会正義を果たす環境を作れること

クルマは工学最高峰の製品と呼ばれています。そこにAIやソフトウェアを組み合わせるのは非常に難易度が高いものだと思っています。だからこそ、ソフト・ハードが垣根なく融合し、セクショナリズムなく自由闊達に議論しているような組織を作っていきたいです。
私たちは今までと異なるアプローチでAIをベースとしたクルマを作っていきます。そこでは、開発したAIに最適化したハードウェア、数万部品をシームレスに制御するソフトウェアが必要です。だからこそ、ゼロベースでクルマを再構築し、最高のプロダクトをゼロから作っていく気概で日々取り組んでいます。

“いいやつ”の採用にこだわること

それと同時に私が大切にしているのは「いいやつの採用にこだわること」です。今までさまざまな組織に属してきたからこそ感じることですが、スキルや実力が高いものの批判的な発言や雰囲気を出す方が稀にいます。彼らが組織に属することで、短期的には早く開発は進むかもしれないけれど、中長期的には組織の開発スピードや生産性を下げてしまうといった事象が発生してしまうのです。
そのため、Turingでは少しでも迷った場合は採用を見送ります。優秀なエンジニアやビジネスパーソンと出会うと非常に悩みますが、組織のカルチャーを重要にするからこそ、この意思決定を大切にしています。だからこそ、一緒に働くメンバーはみんな“いいやつ”です。会社の雰囲気もよく、みんなイキイキと働いています。Turingで働く上で私が誇りに感じていることの一つです。これからその風土を洗練させ、最高の組織にしていきます。

Turingが解決した課題は0.01%だと思っています

Turingでは完全自動運転EVを開発し、製造するというチャレンジをしています。その実現に向け、われわれが解決した課題は0.01%ほど。工学最高峰のプロダクトと言われるクルマを作るにはソフトウェア、ハードウェア問わず多くの才能が必要です。少しでも面白いと思った方や興味を持った方はぜひMeetyや弊社求人へ応募してください。事業の進捗やTuringの課題についてお伝えさせていただきます。

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