渡邉礁太郎/Shotaro Watanabe

属性
エンジニア
サイバーエージェント出身
リクルート出身
ゲーム開発
Webフロント開発
SaaS
広告
EC
 
Turing株式会社 UXエンジニアリング チーフエンジニア。大学院修了後、サイバーエージェントに入社。ゲーム、SaaS・EC・広告のサービスなどさまざまな分野で技術選定段階から開発を経験。リクルートを経て、Turingへ転職。Turingが初めてエンドユーザー向けに販売した「THE FIRST TURING CAR」のプロジェクトリーダーを務める。現在はUXエンジニアリング チーフエンジニアとしてチームマネジメントと開発をリード。

ソフトウェアエンジニアが車づくりに?

ーーチーフエンジニアとして、IVI(in-vehicle infotainment、以下、IVI)開発をリードしているしょうたろうさん。前職ではどんな経験を積んできたのですか?

サイバーエージェント、リクルートで経験してきたこと

大学を卒業後、サイバーエージェントに新卒入社しました。合計7年ほど在籍したのですが、最初の4年はゲーム開発、後半の3年ほどSaaS・EC・広告などのサービスを経験しました。その後、フロントエンドの技術領域の仕事をしたいと思い、リクルートに転職。Webフロントエンドの横断組織でコスメ関係のサービスに立ち上げから関わり、業務用のSaaSにも携わりました。
 
ーーさまざまな業界やサービスに携わってきたのですね。その2社で学べたことはどんなことですか?
 
大きく2つあって、中心人物として取り組めたこと、プロダクトにベストな技術を見極めるスタンスを獲得できたことですね。今から振り返ってみるとすごくラッキーだったと思うのですが、技術スタックが決まっていない新規プロジェクトにアサインされることが多かったです。全プロジェクトで中心人物として取り組め、技術選定や開発の進め方などを決めることができていました。そういった環境下で仕事ができたことで、密度の濃い時間を過ごせていたと思います。
 
また、新卒でCygamesに入社した2012年当時はソーシャルゲームが流行っていました。GREE、DeNAをはじめとする会社のWebエンジニアになることがある種のトレンド化していた中で、Cygamesは経営者が全員コンシューマーゲーム出身でした。ソーシャルゲームで参入してきた会社の中では珍しい部類だったと思うのですが、経営陣が時代の流れを読み適切なものを見極める姿勢を持っており、それを学べたのは大きかったですね。自分がフラットな視点や考えを持てるのはその経験が基盤になっていると思います。技術選定においても、技術だけにフォーカスせずにプロダクトにとってベストな選択を心がけています。

自動車の世界にソフトウェアがどこまで通用するのか

ーー非常に充実してキャリアを歩まれていたと思うのですが、そんな中なぜTuringにジョインされたのでしょうか?
 
正直、転職は考えていなかったです。CEOの山本さんのTwitterを見て「なんか面白そう」と思って連絡したことがキッカケでした。当時は車業界で盛んに「ソフトウェアファースト」と言われているものの、その道で生きてきた自分としては実態はわからない状態でした。
一方で、マイカーのテスラに乗る中で、テスラの車内体験やソフトウェアとハードウェアが一体となった体験はすごいなと思っていたんです。車にWebやインターネットの世界で培った技術をどれだけ活かせるのかを確認したいという思いで、Turingに副業として関わることになりました。その数ヶ月後に一人目の中途入社ソフトウェアエンジニアとしてジョインしています。

入社後に取り組んだTHE FIRST TURING CARプロジェクト

ーー中途入社の一人目ソフトウェアエンジニアとして、どんなことから始めて行ったのですか?

ソフトウェア開発を会社にインストール

入社してすぐに、「THE FIRST TURING CARプロジェクト(※)」のプロダクトオーナーになりました。開発のキックオフ時にはTuringにはプロダクト開発経験自体がありませんでした。そのため、タスク管理、ソースコード管理、テストの自動化、リリース管理などいわゆるソフトウェア開発の動きが導入されていなかったのです。自動車開発において、それらが通用するか半信半疑でしたが細かい検証を回しつつTuringにアライメントしていきました。やっていく中でソフトウェア開発の手法や進め方はかなり機能し、手応えがありましたね。
 
※レクサスの市販車にTuringが独自開発したレベル2相当の自動運転AIを搭載し、販売した

開発の目的と技術選定のアラインメント

ーー手探りな中でハードだったのはどんな点でしたか?
部品の選定・調達難易度が上がった点です。車は数万部品で成り立っています。ソフトウェアとは異なり、技術を選定し直すことで開発の遅延や費用が発生するのです。当然車載ハードウェアの選定は慎重になりますし、下記の点を配慮しなければなりません。
  • そもそも車に積めるのか
  • 熱、振動、耐性
  • 他ハードウェアへの影響
また、高い安全性・安定性を求められる点も特徴的でした。Webサービスやアプリとはincidentの定義が異なります。人命を預かるプロダクトだからこそ、求められる水準は高いです。これらをクリアするハードウェアやシステムを構築するのは今までにない経験でした。
 
ーーそれらをどうやって乗り越えたのですか?
ファーストキャリアでゲーム開発をしていたので、ゲームをスマホに最適化させていく過程で培った経験が活きました。ハードウェアの協力会社さまとの商談や調達までの契約などのタイムラインも意識しながら、調達性を加味した動きをしていました。ソフトウェアライセンスやサプライヤーからの調達は詳細な機能や仕様、コストや納期などはオープンになっていないことがしばしばあります。それらをコントロールしつつ開発を進めるのは、今までとは異なる面白さがありましたね。

TuringのIVIとは

ーーTHE FIRST TURING CARはリリースから早期に販売が完了しました。その次のプロジェクトとしてTuring 独自のIVI内製に取り組まれています。そもそも、なぜTuringではIVIを内製するのですか?

内製する理由

 
理由はシンプルで、ソフトウェアを掲げるTuringが自社でIVIを構築しないという選択肢はありませんでした。
 
また、われわれはWe Overtake Teslaをミッションに掲げています。Teslaは統合ECU、OTAなどさまざまなイノベーションを起こしてきました。自動車産業の技術をアップデートする彼らをいずれ追い抜くには、少なくとも自社で内製できるスキルを持っていないと厳しいです。そういった理由から必然的に、自分たちで作るという方向性が決まっていきました。

ハードがソフトウェアに接続されていく面白さ

ーーさまざまなレイヤーの仕組みを自分たちの手の内にしていくのがTuringの特徴ですよね。渡邉さんがソフトウェアエンジニアとしてTuringに関わる中で感じる開発の面白さってなんでしょうか?
 
いろんなものがソフトウェアで動くことですね。タイヤやドアなどいわゆるハードウェアがどんどんソフトウェアに接続されていくのは面白いですよ。コードで全ての現象を操っていく感覚は他では得難いものかなと思っています。
 
ーー渡邉さんがIVIの理想像について教えてください。
人間ができるだけ操作をしなくていい設計が施されたものを作ることです。今はタッチパネルが主流となってきていますが、突き詰めていくとタッチパネルも押す手間があります。現状の最適解ではありますが、今後の技術革新に合わせてその時の最適解を活用して開発を進めていきたいですね。
 
ーー翻ってTeslaや中国EVはなぜシンプルなIVIを実現できたのでしょうか?
シンプルに彼らがゼロから車を作ってきたからだと思います。ゼロベースで考えた時に、今の日本車のように物理ボタンを配置して設計すると難易度が高かった。最小努力で同じ機能のものを市場に出すために、省力できる箇所を省力して開発したのではないかと考えています。だからこそ、我々も同じスタンスで、その時その時の最適解を探求するスタンスで進めればユーザーを驚かせるプロダクトを世に出せると考えています。

車のソフトウェア開発をオープンにしていく

ーー渡邉さんが今後Turingで行っていきたいことを教えてください。
ソフトウェアエンジニアが活躍できることを証明し続けたいですね。車づくりってゲームやアプリと面白さ、作り方の点で似ている部分が多いんですよ。むしろ今のユーザーはスマホに100%慣れているので、IVIをスマホと遜色のない操作感にしていけるかどうかはポイントだと思っています。今後の開発において、私がマイルストーンに置いているのは下記です。
  • レベル1:スマホみたいなものが車に乗っている
  • レベル2:運転している状況に最適化されたスマホのようなものを作る
  • レベル3:全部音声にしたりして、画面がなくなったり、XRやそれ以外のものが入る
  • レベル4:完全自動運転EVに最適化したものを作る。
 
時にマイルストーンが前後するようなイノベーションが起きる可能性もありますが、常にユーザーを考えて先手を打ちながら開発を進めていきたいですね。
 
ーーそんなビジョンを実現するために、今のTuringで求められるスキルや経験はどんなものが挙げられますか?
 
Turingでは、IVIシステムの開発において、Android Open Source Project(AOSP)をベースに独自のオペレーティングシステム(OS)を、アプリのユーザーインターフェース(UI)開発にはUnityというゲームエンジンを採用しています。
 
開発としては、Androidが載っているデバイスやOSの開発とやっていることは近いです。一方でアプリの下のレイヤーまで開発範囲が及ぶため、OSを丸ごと作ってみたいという志向を持った方は適していると思います。
 
Turingではできるだけオープンで世の中で広く使われている技術を選定しています。さまざまな技術を今後も採用していきますが、何か一つに秀でた方や、垣根をつくらずに何でも取り組める方は面白い環境ですよ。ソフトウェアエンジニアとして経験を積み、新しい技術やレイヤーに挑戦したい人にとってTuringは最高の環境だと思います。少しでも気になった方は、カジュアル面談や採用イベントに来てください。私の経験からもいろんな話ができるはずです。